とっておきのお酒の話vol.15

4.日本酒(清酒)

4-3.あなたは自分のお酒の適量を知っていますか?

 一度、テストしてみて下さい、お役に立ちますから。その日の体調でも多少のバラツキはありますが、体重60Kg(体重と肝臓の大きさはほぼ比例)前後の平均的な人で、一晩のアルコ ール分解時間(*1)を考慮すると、2単位(*2)が適量とされています。2単位を呑ん で、次の日にダメージがなければ、あなたの仮の適量となります。次回に、3単位を呑んでダ メージがなければ、3単位が仮の適量となります。更に次の時に、4単位を呑んでダメージが あれば、3単位がその人の本当の適量になります。

(*1)アルコール分解時間は、30分で1単位呑んだとして3時間かかると言われています ので、一晩で2単位が標準といわれています。

(*2)お酒の1単位の量(アルコール約20g) 

 

 日本酒          アルコール度数15%   180ml(1合)
  ビール           アルコール度数5%   500ml(中ジョッキ)     
  焼酎              アルコール度数25%   110ml
  ウイスキー     アルコール度数43%    60ml
  ワイン           アルコール度数14%   180ml
  缶酎ハイ        アルコール度数5%   520ml(1.5缶)

 私の場合は晩酌で3単位(ビール500ml+日本酒2合または焼酎水割り5:5でグラス2 杯)が適量のようです。

それから、お酒を呑む時にはお水を飲みましょう(*3)。そうすると悪酔いしませんから! ウイスキーでは「チェイサー」、日本酒では「和らぎ水」と言いますね。アルコールの血中濃 度が下がり、アルコール分解も助けます。 

 

(*3) 必要とされる水の量(1単位当たり)

 

日本酒 447ml(日本酒量の2.5倍)

ビール     125ml(ビール量の0.25倍)
焼酎      518ml(焼酎量の4.7倍)  
ウイスキー   566ml(ウイスキー量の9.5倍)
ワイン     445ml(ワイン量の2.5倍) 
缶酎ハイ    106ml(缶酎ハイ量の0.20倍)

 ウイスキー、焼酎、日本酒、ワインで悪酔いしないためには、思ったより大量の水が必要と言うことが分かります。努めて水を呑みましょう!もっとも、焼酎やウイスキーはあまりストレートでは呑みませんが。

4-4.時代と共に変わる日本酒の呼び名、特定名称酒とは

  日本酒は明治時代になってビールやワインが輸入されるようになり、差別化するために使われ 始めた通称す。元々は「酒」、更には古事記や日本書紀などでは「ミキ*1」、「ミワ *2」、「クシ*3」などの呼ばれ方をしていました。

*1ミキと言う言葉は、今もオミキ(御神酒)として使われています。「口噛ノ酒」=どぶろ く(濁り酒)で、現在でも御神酒は濁り酒を供える慣わしが残っています。

*2奈良県三輪山にある大神神社《おおみわじんじゃ》が、大和朝廷時代から神酒を醸し、祭 る神社として重要な役割を担っていました。ご神体の三輪山の杉の葉で造った杉玉を「酒林 (さかばやし)」と言うことでも有名です。

*3クシはクスリ(薬)と言う解釈がなされており、古代において酒は薬であり、酔うと言う 不思議な作用で神々との交流が図れると信じられていました。

 

話のついでに、僧侶が呼んでいる日本酒の隠語「般若湯《はんにゃとう》」についてお話します。禅系の寺院の門前には、「不許葷酒山門《くんしゅさんもんいるをゆるさず》」とあり、酒を呑むことを戒めています。しかし、薬として少し位嗜むのなら良いとされていましたが、決して呑んでいるのは酒ではないと言う罪意識から、酒のことを「知恵の湧きいずるお湯」と言う意味を持った「般若湯」と呼ぶようになりました。

昭和18年に等級別制度が制定され、特級酒、一級酒、二級酒、普通酒、三増酒(等級別制度からは除外)と呼んでいました。平成4年に特定名称酒制度が制定され、大吟醸酒、純米大吟醸酒、吟醸酒、純米吟醸酒、特別本醸造酒、特別純米酒、本醸造酒、純米酒の呼び名となりました。特別本醸造酒、特別純米酒は醸造メーカーがオリジナルで品質を決めて造ったものですが、ほぼ吟醸酒の品質と差はありません。この他に普通酒と呼ばれるものがありますが、特定名称酒からは除外されています。

特定名称酒

特定名称 使用原料 精米歩合 こうじ米
使用割合
(新設)
香味等の要件
吟醸酒(ぎんじょうしゅ) 米、米こうじ、 醸造アルコール 60%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が良好
大吟醸酒(だいぎんじょうしゅ) 米、米こうじ、 醸造アルコール 50%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好
純米酒(じゅんまいしゅ) 米、米こうじ 15%以上 香味、色沢が良好
純米吟醸酒(じゅんまいぎんじょうしゅ) 米、米こうじ 60%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が良好
純米大吟醸酒(じゅんまいだいぎんじょうしゅ) 米、米こうじ 50%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好
特別純米酒(とくべつじゅんまいしゅ) 米、米こうじ 60%以下又は特別な製造方法(要説明表示) 15%以上 香味、色沢が特に良好
本醸造酒(ほんじょうぞうしゅ) 米、米こうじ、 醸造アルコール 70%以下 15%以上 香味、色沢が良好
特別本醸造酒(とくべつほんじょうぞうしゅ) 米、米こうじ、 醸造アルコール 60%以下又は特別な製造方法(要説明表示) 15%以上 香味、色沢が特に良好

 特定名称酒は上表のように8種類に分類されており、酒米の精米歩合(玄米を削って残ったお米の重量%。

(例)40%なら玄米の60%を削った状態)で名称が決められています。大吟醸のように精米歩合の数値が小さいほど高級で、値段も高いお酒となります。さらに、純米グループと本醸造グループに分かれています。

 ○純米酒グループ:

米と米麹のみの原料で造られたお酒。(純米大吟醸酒、純米吟醸酒、特別 純米酒、純米酒の4つ)

 

○本醸造酒グループ:

米と米麹の他に醸造アルコールが適量(*4)添加されたお酒。(大吟 醸酒、吟醸酒、特別本醸造酒、本醸造酒の4つ) なお、普通酒(*5)にも醸造アルコールが添加されています。

 

 

(*4)使用した白米重量の10%以下と決められています。この数値からは少ないように感 じますが、本醸造酒の場合は製品中に含まれる純アルコールに対する醸造アルコール(天然系 原料由来)の添加比率は、最大で実に24.2%に相当し、一升ビン中の約1/4量が醸造ア ルコールとなるのです。勿論、どれもが最大量添加されている訳ではありません。 醸造アルコールの添加の目的は、1香味の調整(淡麗化と香気成分を引き出す)2コストの削 減(低価格酒の場合)3防腐効果(江戸時代は焼酎を添加)の3点が挙げられます。「純米酒 系でないと日本酒に非ず」と思う人がいるようですが、本醸造酒系で旨いものが沢山あります ので、そう思い込むと損をしますのでご注意!

(*5)別名で一般酒やレギュラー酒とも呼びます。醸造アルコールを規定以上添加した場合 や、甘味料や酸味料、アミノ酸などを使用した場合がこれに当たります。また、精米歩合が7 0%以下でも麹米使用量が15%以下であれば、特定名称酒の本醸造酒を名のれず普通酒にな ります。 


15回目ありがとうございます

 

時代によってお酒の名前変わってきたんですね、これからも変わるのかなぁ〜

 

さあ、今晩も「知恵の湧きいずるお湯」をいただき、養生しましょう。