とっておきのお酒の話vol.9

お酒は誰が造るの?

 

麦芽や麹カビそれに酵母菌が協力して造ります。

① 麦芽・麹カビ(白、黒、黄がある)・紅麹カビ・クモノスカビ(麦麹):デンプン ⇒糖に変える(糖化工程と言う)。

 

麦芽(*)、麹カビ(aspergillus:その型が聖水を振り掛ける道具、アスペルギルム に似ていることから命名)、紅麹カビ(モナスカス)、クモノスカビ(リゾープス) が働いて、デンプンを糖に変えます。 

 通常のカビは強い発がん性のカビ毒(afulatoxin)を造るが、これらの麹カビはカビ 毒を造らない安全なものです。 

 

② 酵母菌(学名サッカロマイセス属セレヴィジェ:saccharomyces serevisiaeなど):糖⇒ アルコール+炭酸ガス+α(酸や香り成分)を造ります。

酵母には口がなく細菌表層から栄養分を吸収するため、高分子のデンプン(炭水化物)やタンパク質などを直接食べることはできないので、麦芽や麹カビの酵素の力を借りて、(酵母については次回以降に説明します) 

 ・デンプン(高分子)⇒酵素アミラーゼ⇒糖(分子)

・タンパク(高分子)⇒酵素プロテアーゼ⇒アミノ酸(分子)

・脂 肪(高分子)⇒酵素リパーゼ⇒脂肪酸(分子)+グリセリン(分子)

この様に分子レベルまで分解する必要があるのです。甘酒は蒸した米(デンプン)に麹カビが働いて造った糖溶液なのです。

 肉(タンパク)の調理には塩麹などの麹カビを使うと、酵素の力で分解されてアミノ酸が出来るので旨味が増すのはそのためです。また、だしの素で使う鰹節は、カビの生えた白節の方が、生えないこげ茶節よりも旨いだしがとれるのも同じ理由なのです。

西洋(欧州ほか)では麦芽が使われてきましたので麦芽文化圏と呼ばれます。

 ・ビール:原料は大麦(小麦原料もあり、白ビールのヴァイツェンなど)

・ウイスキー:原料は大麦(トウモロコシ原料はバーボン)

・ジン:原料は大麦、ライ麦、名前の起源はジュニエーヴェル

・ワイン(オランダ) の短縮型で、最初の“ジ”と最後の“ン”を採ったと言われていま

東洋(日本、東南アジア)では麹カビが使われてきましたので、麹文化圏と呼ばれま す。

・日本酒:原料はジャポニカ米、麹カビ(黄)を使う。

・マッコリー:原料は米、クモノスカビ(麦麹)を使う。微炭酸で濁り酒です。

・焼酎:芋が人気ですがデンプンであれば原料は何でもOK、麹カビ(白、黒)紅麹 カビを使う。芋焼酎と言っても原料は芋100%ではなく、焼酎の酛(もと)になる 酒母は日本酒と同じ米と麹カビ(黄)を使うので、ラベルには原料に芋の他に米、米 麹と記載されている筈です。

・紹興酒:原料はもち米、クモノスカビ(桃の表面を黒く腐敗させる、インドネシヤ の納豆「テンピ」造りもこれ)を使います。名前は中国浙江省の紹興市で醸されたお 酒に使用が限定されます。3年以上熟成しないと美味しくなりません。一般名は老 酒、上海で造れば“上海老酒”、福建で造れば“福建老酒”と呼びます。 

 

ぶどうを原料とするワイン、ブランデー(白ぶどう酒の蒸留酒:王侯の酒)は、果糖 (ブドウ糖)が原料ですから、糖化工程が不要なのでないのです。 ついでに、シャンパンのお話をすると、ワインにシロップを加え原料とし、これに酵 母(サッカロマイセス バヤヌス《bayanus》)を加え、瓶の中で待つこと何と15 ヶ月以上二次発酵させて造ります。栓を抜く時パーンと栓が飛ぶのは、発酵で出来た 炭酸ガスの内圧なのです。シャンパンと呼べるのはフランスのシャンパーニュ地方産 だけです。(フランスでの総称はヴァンムースと言う)でも、カルフォニア産ならカ

ルフォニアシャンパンと産地名を冠すれば許されますよ。 

 

by  Mr.k


9回目ありがとうございました。

 

だんだん専門的になってきました。涙

どこまで、私がついていけるかなぁ不安・・・・